校長の部屋

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 扇橋小学校校長 矢野 敦

 

 5月25日(土)ほど良い天気のもと運動会が行われました。

 たくさんの保護者・地域の方々に励ましの声援をいただき、こどもたちは力いっぱいの走り、演技ができました。さわやかな空気が校庭いっぱいに広がった1日でした。

 保護者の皆様からアンケートの回答をいただきました。こどもたちの姿をたくさんほめていただき、また、先生たちの指導に対する感謝の言葉もいただき、うれしい気持ちでいっぱいになりました。

 今年の運動会では、短距離走の着順判定を行わなかったことに関するご意見・ご感想もいただきました。学校としての考えを事前にもっとアピールしても良かったのかなと反省しました。この場を借りて少しお話をさせていただきます。

 

 今、運動会で一番気を付けていることは「健康で安全な運動会」を実現することです。言い換えると「熱中症予防対策」が大きなウエイトを占めています。新型コロナウイルス感染症予防対策として、三密を避けることをきっかけとして、午前中開催や入替制の運動会が始まりました。きっかけは感染症予防対策でしたが、それは長年悩まされていた熱中症対策としても大変効果的でした。

 

 午前中開催は、午前中の疲れが残る状態での午後の炎天下における運動や長時間の観覧・外出を避けることができます。そのための種目を削減になります。何を削るか、残すかを検討した結果が短距離走と表現で運動会を行うことでした。種目減は、こどもの楽しみを減らすことにもなりますが、取り組む時間(練習時間)も熱中症の危険を考えるとやむを得ないと考えています。また、赤白に分かれて、点数で勝敗を決することを短距離走のみで行うのはチームの競い合いとしては不十分だと考え、徒競走を短距離走にして、点数化を廃止しました。今年度より、着順判定は教員で行わないこととしましたが、走っている当人は、自分が何着であるかは認識できると考えているからです。決して、競争を否定しているわけではありません。むしろ、着順を自分自身で認識することで、競争意識は十分芽生えると考えています。着順判定廃止は短距離走(徒競走)の時間短縮に大きく貢献しています。

 

 今回、運動会全体の時間は、ほぼ想定通りでしたので、短距離走のレース間隔をもう少し縮めるなどの工夫で、すでに実施している代表によるリレーに加え複数学年による団体競技の新設も視野に入れています。熱中症対策が運動会の競技性やイベント的要素を犠牲にしていることは十分認識しています。しかし、1.演じる側、観る側双方の健康で安全な運動会の実現 2.一年間を見通しての学習・学校行事のバランス を考え、現在のやり方に至っていることをご理解いただけると幸いです。

 

 熱中症対策で大きく変わったことがもう一つあります。それは、夏休みの水泳指導を今年度から行わなくしたことです。その主な理由は次の3つです。

1.ここ数年の傾向として、晴天の日は朝であっても暑さ指数(WBGT)が厳重警戒レベル以上になってしまう日が多いこと。

2.水泳指導の可否は天候によるので、直前に可否を判断しています。実施・中止の連絡がこどもが家を出る時間に間に合わないことが予想されること。

3.炎天下での登下校の安全が心配されること。

 

 外に出て体を動かすことが健康を害することにつながってしまうことに違和感を覚えながらも、ここ数年の気象状況や熱中症による健康被害の実態を考えると、屋外の教育活動への配慮は欠かせません。削ることを優先に考えているのではなく、残すこと、余地ができれば復活させることは常に念頭に置いています。こどもの楽しみはできる限り保障したいと考えていますので、今後もご理解・ご協力をお願いいたします。長文にお付き合いいただきありがとうございました。

 

更新日:2024年06月07日 18:18:38